NCSC工法とは
NCSC工法の「NCSC」はNon Chemical Scale Control の略で、薬品を使わずにスケールコントロールを行う工法です。
BW水改質装置により、熱交換を阻害する炭酸カルシウム(CaCO₃)や二酸化ケイ素(SiO₂)などのスケールを除去し、また付着を防止する事で、消費電力の削減や薬液注入量の削減などの効果を生み出す工法です。(特許第6703660号)
NCSC工法は、
水改質によってスケール除去・スケール付着防止を行い
消費電力削減の効果をもたらします
スケール除去・スケール防止のメカニズム
炭酸カルシウム(CaCO₃)に対して
通常の水の場合
一般に給水施設では、ポンプで加圧された水が送られます。そのため高圧に加圧された水には気体が大量に溶け込んでおり、水栓を開放して通常圧に戻ると溶け込んでいた気体が気化して大量の気泡が発生します。
この状態の中、水中の炭酸イオンがカルシウムイオンと結合し炭酸カルシウム(CaCO₃)の結晶化が進みます。
BW改質水の場合
改質水においては、とけ込んでいた気体が気化せずに水分子の連なりの中に『包摂』され(水和化)、粒度の揃った水分子の安定状態を保っていると考えています。
これは、通常の水にみられる『水栓解放後にアルカリシフトする現象』が抑制されていることからも確認することができます。(右図:処理水及び未処理水のpHの経時変化)
この状態の中では、スケールとして付着している炭酸カルシウムCaCO₃が水中に包摂された二酸化炭素CO₂と反応して水溶性の重炭酸カルシウムCa(HCO₃)₂になります。そのため、固着したスケールは容易に剥離します。
CaCO₃ + CO₂ + H₂O ↔ Ca(HCO₃)₂
改質水では、スケールはカルサイト結晶(粒状結晶)として析出します。カルサイト結晶はスケールとして固着しにくく、仮に付着しても容易に剥離出来ます。一方、通常の水ではアラゴナイト結晶(針状結晶)のスケールとして強固に固着しやすく、カルサイトに比べ10倍の容積となり、空気層を多量に持つので熱伝導を阻害します。
二酸化珪素(シリカ=SiO₂)に対して
通常の水の場合
シリカ(二酸化珪素)はゲル状の被膜を形成し、徐々に堆積して強固なスケールとなって固着します。
BW改質水の場合
改質水の中では、シリカの周囲を水分子が取り囲む現象が起こりゲル状の被膜の形成を防ぐと考えています。そのためシリカの堆積やスケールの付着が起こりにくくなります。
某精密射出成型工場の事例
省エネ効果
冷却塔内にBWプレートを1枚・補給水配管にBWΩ25を設置し、冷却水配管内のスケールが除去された事で熱効率が改善し、圧縮機(冷凍機コンプレッサー)の負荷が軽減された為、消費電力30%削減。
フィルター交換周期の改善
生産設備用冷却水配管に設置された50μmフィルターは、通過する冷却水の水圧が5.0kg/cm2に到達した際に実施
通常水:1週間で水圧が5.0kg/cm2に到達
改質水:フィルター交換直後の水圧3.1kg/cm2が3週間経過しても3.4kg/cm2でした。
フィルター交換時期は、1週間から1ケ月以上に大幅に延長
水改質の調査法について
水改質の効果は、以下の方法にて測定することが可能です。
水改質を測定する装置について
NCSC工法のまとめ
- 薬剤・電力を使用せずに設備・配管のスケール除去・スケールの付着を防止
- 熱交換効率が改善し、冷凍機コンプレッサーの消費電力を30%削減
- フィルターの交換周期が大幅に延長