錆をもって錆を制する!
配管マグネタイト工法Ⓡ(酸化被膜工法)とは、BW水改質装置(商標登録:The Biowater)を給水管や貯水槽に設置し水を改質する事で、配管内面に発生している赤錆を黒錆(マグネタイト)に変えて配管を長寿命化させる工法です。
黒錆は地金と錆層の間に間断なくコーティングしたように形成され結晶状の黒錆で地金が保護されます。黒錆は赤錆よりも密度が10倍高く安定しているので、配管閉塞や赤水(錆水)の症状も改善します。また配管の肉厚が失われ漏水寸前の箇所は黒錆により元の肉厚まで復元されるので漏水のリスクを回避できます。すでに漏水している場合でも漏水箇所が次第に減少し漏水の現象は止まります。
※「配管マグネタイト工法」は、「酸化被膜工法」より名称を変更しました。
配管マグネタイト工法(酸化被膜工法)のコンセプトと方法
配管マグネタイト工法の先行技術は、最良の防錆法と知られる侯耐性鋼(商標名:コルテン鋼)で、錆を用いて錆をコントロールする技術です。この考え方を給水管の防錆法として開発を行いました。
コルテン鋼は鋼材の上に皮膜を作る塗料を塗布しますが、「配管マグネタイト工法」は『管』の中を流れる『水』に働きかけます。これは、日本の水改質の伝承技法を防錆の工業技術として完成させたものです。
配管マグネタイト工法の効果
漏水防止対策
漏水寸前の配管が黒錆で修復・復元された事例です。
以下の写真は築後21年目に配管マグネタイト工法を実施し、5年後の写真です。
継ぎ手の雄ねじの部分写真ですが、この写真により以下のことが読み取れます。
- 継ぎ手雄ねじの先端部分より地金とライニング層の間に水が浸入し、ライニング層の下で赤錆による老朽劣化が20年間進んでいた
- 地金の2/3まで浸食された痕跡があるが、現在は黒錆の層が形成されている
- 現状では赤錆による地金の浸食の進行の様子は見られない
- 赤錆で劣化したパイプ地金は元の肉厚を黒錆により回復している
上記2~3の出来事が配管マグネタイト工法施工後5年の間で起こり給水配管の経年劣化が止まり、給水管の元の肉厚がマグネタイト(黒錆)で復元できていることが確認できます。
某鉄道車両基地事務所棟の事例
2006年12月設置、10年後に調査
問題となる、水に触れてしまうネジ二山分のポイントにしっかりと黒錆が形成されていることが分かります。
断面にみられるネジ2ヤマ分の黒錆層は管内円周に沿いぐるりと形成され、これによって地金の浸食が抑えられてます。
錆層の表面にカルシウム皮膜に付着した赤錆層その内側に黒錆層の生成されているのが良くわかります。
また赤錆の黒錆化で体積が収縮してゆく過程で赤錆層にくるまれていた不純物層の空隙も観察されます。
長期に亘る安定的な効果
長期の効果実証(施工後23年)
- 場所 横浜市栄区笠間
- 築年 平成元年4月竣工
- BW取付 平成4年4月
- 調査 平成27年5月
検査機関:横浜市工業技術支援センター(H27-000)
水に直接触れているネジ二山分が黒錆化しました。
雄ネジの管端の形状に沿って形成された黒錆層は、突起したネジのように見えます。
赤水対策
現在の生活利用の水道配管に「赤水」は見られなくなりましたが、工場の循環水ラインなどではこの赤水のトラブルが多く発生しています。赤水が出ることは配管の劣化が進行していることを示すもので、いずれは漏水などのトラブルに見舞われる予兆ですので、早急な対応が必要です。
水道管(建物内の給水配管)の閉塞改善
給水配管の老朽劣化に伴い、赤錆などの付着物で管の内径が狭くなります。この閉塞により水量不足になり、家庭ではガスの着火がしづらくなり、工業利用の場合には生産設備に影響を及ぼします。
閉塞の原因は、赤錆は空隙の多い構造のためカルシウム化合物などで水中を流れる様々な異物を抱え込み、体積を広げることにあります。配管マグネタイト工法の施工により赤錆の黒錆化が起こると、錆の体積は1/10となり、抱え込んでいた異物を吐き出します。そのため当工法施工後には赤錆だけでなく炭酸カルシウムなどの成分の多い水の洗い出しがあります。
この洗い出し効果による赤水などを配管マグネタイト工法と同時に止めるには、事前に管洗浄を行います。弊社では現場の状況に応じ、JAB洗浄工法(圧縮空気法)、H2O2工法などを行います。
閉塞改善の事例(マグネタイト工法施工9ケ月後)
黒錆化のメカニズム
腐食反応の模式と実際の被膜
炭酸カルシウム被膜の緻密化
都市の水は塩素の影響等で通常はアラゴナイト結晶が生成されやすいですが、改質水中ではカルサイト結晶が優位になります。
カルシウム被膜(マイクロスコープ200倍)
カルシウム被膜下で酸素供給の減少
緻密なカルシウム被膜により鉄(配管地金)への酸素(水中の溶存酸素)供給が減少し、FeOが残存しやすい環境になる。同時に腐食電流も抑制されるので酸化反応が抑制される。
配管地金部分の赤錆が黒錆に変化
赤錆(Fe₂O₃)と酸化鉄(FeO)が結合して黒錆(Fe₃O₄)を生成
酸化反応が抑制され残存したFeOと赤錆(Fe₃O₄)が結合し黒錆に変化する。
効果の科学的実証
配管マグネタイト工法を実施して10年後の新品GP管の継ぎ手にて検証
10年後のGP管 肉厚測定結果
A~Tの20箇所の肉厚を測定、いずれの箇所も、新品時より肉厚が増加しました
赤錆から黒錆への変化・経過観察データ
下記技術発表大会で、赤錆が黒錆への変化とともに、マグネタイト(黒錆)の比率が増大 していく過程の観察データが公開されました。(第40回 防錆防食技術発表大会(2020年7月)より抜粋 新宿三井ビルの事例)
当工法施工前後のTP比較テスト
当工法施工後のテストピースの経時変化観察テスト
赤錆が黒錆化(マグネタイト化)していく変化を確認できます。約300日で赤錆が完全に黒錆化しています。
X線回折による物質分析
上記経過観察で示されているような錆成分の分析は公設試ですべて行っています。
測定装置はX線回折を用いて化合物の特定、その概略の成分比率等を割り出しています。
黒錆化の実現可能性を測定する装置
BW水改質装置の効果は通常の水質分析では明確に評価することは出来ませんが、物質の性質が変化することに着目し、評価法を確立しました。
赤錆を黒錆に変えるBW水改質装置(商標登録:The Biowater)は鉱物の結晶を用いた水改質の技法が原点です。
この装置が工業技術であるためには「再現性」「合理性」「操作性」の三要件が必要です。
自然界の鉱物結晶を用いていた技法を一定のレシピで調合し人工の鉱物結晶を作り出すことで「再現性」を担保しました。そして赤錆が黒錆へと変化していく過程を解明し「合理性」の要件をみたしました。
さらに水改質の度合いを数値化する測定装置を開発して「操作性」を担保し工業技術として完成し、NETIS登録もされました。
配管マグネタイト工法のプロセス
STEP1劣化状況ヒアリング
STEP2弊社独自の方法により水質検査(有償)
STEP3抜管調査(有償)
STEP4工法の組合せにより御見積を作成・施工法を決定
STEP5BW水改質装置を設置
※STEP2またはSTEP3は省略可能です。
対象の施設の配管径に併せてBWΩの機種を選定し、貯水槽の容量に併せてBWプレートの枚数を選定します。
配管を切断し設置しますので、給水方式によっては断水を伴います。
パイプに設置するBWΩタイプ取付事例(バイパス管の設置が標準施工です。)
水槽内に設置するBWプレート取付事例(箱型・ハシゴ型等取付金具により様々に対応可能です)
STEP6ご希望により効果検証調査を行います
まとめ ー配管マグネタイト工法の特徴とメリットー
当工法は日本古来の水改質の伝承技法が防錆の工業技術となったものです。国土交通省の新技術認定を受け(KT-1625-VR)、コア技術の水改質機器は日本水道協会認定です(Z-92)。
工法の実現可能性を事前に判定する測定法(日米欧シンガポールマレーシア特許)も確立し個別の調査後にご納得いただき御利用いただける安全・安心・確実な給水管劣化対策です。
配管マグネイト工法のメリット
- ケミカル・エネルギー共にフリー、原則メンテナンスもフリー
- 短工期、低価格、躯体の寿命まで長期に効果持続
- 管の老朽化の程度を問わず、漏水履歴があっても適用可能
- 水改質の効果による快適な水環境の実現
- 水環境負荷の低減をもたらす三方良しの工法
また、弊社開発の効果測定装置により、合理性・操作性・再現性の三要件を満たした工業技術と言えます。
20年以上の建物であればお役に立てる可能性は高いです。
まずはお気軽に御見積をご依頼ください。
現場の状況によって、ベストなご提案をさせて頂きます。